家造りが仕事ですから、「この家のこの壁面にはどんな絵が似合うだろうか?」という思考習慣がついています。
画廊めぐりをする時は、お客様から頼まれる場合もあるのですが、住み心地・体感ハウスや自宅などの壁面を想定してフィットするものを探します。
ご著書『「いい家」が欲しい。』で知られるマツミハウジング社長・松井修三さんは大の美術ファンでもいらっしゃいます。東京・花小金井のマツミハウジング「住み心地体感ハウス」でお話を伺いました。 ( 聞き手 顧 定珍)
顧:このお部屋(「体感ハウス」2階)は壁2面に絵が掛けてあって良い雰囲気ですね!いい家といい絵の素晴らしい
コラボレーションをありがとうございます。絵に親しまれるきっかけは何でしたか?
松井:創業した翌年、1973年のことですが、オイルショックの影響で倒産しかけたときがありました。そのとき、とある銀座の画廊で見かけた絵が気に入って購入しました。経済的にも精神的にも追い込まれていたのですが、毎日その絵を眺めていると心が安らぎ、ファイトが燃えてくるのでした。
その絵は、ベネチアの水路に面した家のたたずまいを描いたものだったのですが、20年ほどしてからベネチアを訪ねた折に、「ああ、この情景だ!」と思える場所を発見した時は感激しました。
顧:絵は無数にありますが、やはり心から愛せる絵は一生ものですから、良い家との出会いに似ているかもしれませんね。
松井社長が絵を選ぶ基準や、選ぶときの決め手はどんなことですか?
松井:家造りが仕事ですから、「この家のこの壁面にはどんな絵が似合うだろうか?」という思考習慣がついています。
画廊めぐりをする時は、お客様から頼まれる場合もあるのですが、住み心地・体感ハウスや自宅などの壁面を想定してフィットするものを探します。本当にたまにですが、「あっ、この絵だ!」と直感的に気に入る場合があります。シルクランドさんとのご縁もそうでしたね。たまたま覗いたら、ホンビン・ヅォーさんの作品に一目惚れしました。同時に顧さんのお人柄に。
顧:ありがとうございます。


松井:顧さんは(絵を)売る立場だから、当然作品は見ていらっしゃるだろうけど、人と人とのつながりの中にも絵を見ているんでしょうね。
顧:そうですね。作家の心が伝わってくる作品は、必ずお客様に大切にされますから、作家には「本当に描きたいものを描いてください」とお願いしますし、お客様には、人生の伴侶を決めるように作品を選んでいただきたいと思っています。
松井社長は、いい家といい絵との関係についてはどうお考えですか?
松井:どこの家にも、最低1箇所は絵を掛けると引き立つ壁面があるものです。
そこに適当な絵を掛けてやると雰囲気が俄然よくなります。「いい家」というのは、住み心地のよい家をいうのですが、雰囲気も大切な要素なのです。
特に玄関ホールの壁面は大切です。そこに掛けられる絵によって、家全体の雰囲気が語られてしまう。いや、そこの主のセンス、人柄までもが表されてしまうような気がします。
住み心地が良くて、素敵な絵がある、そんな家って、いいなーと思いませんか?ご家族の笑顔が想像できますよね。
東京体感ハウスの玄関ホールには、譲っていただいたツーリ・リーさんの作品「幸せの窓辺」を飾ってありますが、とても好評です。
顧:絵をお届けする私どもは、良い家を作るお手伝いをさせていただいているんですね。「住まいとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願えるものでなければ、住まい造りに携わってはならない」というマツミハウジングの社訓には、僭越ながら同じ価値観を持った方を見つけた思いがしました。これからも、家庭を照らす笑顔の素をお渡しするつもりでお客様に作品をお届けして参ります。本日は本当にありがとうございました
マツミハウジング http://www.matsumi.com/
ギャラリー通信#15(2009年7月) インタビュー記事より

松井社長の著書「いい家」が欲しい。
誰も教えてくれなかった「いい家」の秘密が書かれています。
詳しい内容はマツミハウジングのHPで。http://www.matsumi.com/