3年前、画廊の前をたまたま通り掛かって、ショーウィンドウに飾られた作品に惹きつけられました。これがホンビン・ヅォー作品との出会いです。そのまま画廊に入り、ヅォー先生の個展を堪能しました。第一印象は「類をみない明るいタッチであったこと、その中に優しさが散りばめられていたこと」。以来、先生の個展は毎年欠かさず拝見しております。心優しい作品ばかりが並ぶ個展でしたので、いつかその作者であるヅォー先生にお目に掛かりたいなぁと考えるようになりました。
我が家に作品を迎えたのは昨年11月。スタッフの方が「(作品中の)女の子に似てますね」と声を掛けて下さいました。思い掛けない言葉でしたが、以来、ヅォー先生の個展開催中、何度足を向けたでしょう。先生の作品群を前にとても心が安らぐ中で、更にその作品は強く何かを語り掛けてきました。気が付くと自分の幼い頃に重ね合わせているのでした。
画廊に通ううちに「この子を毎日観ていたい、愛でたい」という気持ちが芽生え、主人や両親に相談して決めました。作品はリビングに飾っております。リビングには「ひまわり」の油絵、ベルナールビュッフェの「チューリップ」等の先客がいましたが、「女の子」の作品も部屋の調和を保ち、仲良く仲間に入っております。作品からは毎日パワーを貰っております。「ただいま」と声を掛けたり、絵のなかの少女を真似てポーズを取ってみたりして、主人に笑われる始末です。今ではすっかり家族の一員です。
母は「女の子がいるだけで雰囲気が全然違うねぇ、部屋が暖かくなったわ」。また母からもやはり「あなたの小さかった頃に似てる」と言われました。自分でも計り得ぬ想いですが、先生の描いた女の子とどこか心の共通点があるのかも知れません。
叶わぬ願いですが、子供時代に先生のモデルに選んで頂きたかったなぁなんて贅沢な事を考えたりも致します。
昨年、先生と初めてお話をする機会に恵まれました。作品と同様、人間味あふれる温かなお人柄でいらっしゃったので、とても感動し自然と涙がこぼれました。帰宅後に改めて作品を見て、子供を真っ直ぐ純粋に見つめる目を持ち、その想いを一心に描けるヅォー先生の素晴らしさを改めて感じました。
今こうして「女の子」の作品に出逢い、先生が想いを籠めて描いて下さったことに、またその作品を推薦して下さったスタッフの方々に深く感謝しております。皆様にいっぱいの愛情をいただいて、我が家まではるばるやってきたので、これからは皆様の気持ちと共に私達の愛情も注ぎ、ずっと大切にしていきたいと思っております。本当にありがとうございました。
ギャラリー通信#8(2006年10月) インタビュー記事より