La bohème la bohème ça voulait dire on est heureux...
ある日ペンキ塗りの歌声が聞こえて来た。ちょうどモンマルトルに近いアパルトマ
ンで生活していた時に。曲名は知らなかったが、そのメロディーが心の中にストーン
と入り込んでしまった。今自分はパリにいる、今自分はキャンバスに向かって絵を描
いている……、
まさに青春真っただ中で!
まるで自分の気持ちを代弁してくれている様な曲に思えた。後にシャルル・アズナ
ブールが歌う“ラ・ボエーム”だと知った。日本語訳を読んだ時、画家になる夢を抱
いた青年の若き日の青春と挫折を歌った曲だと分かった。
あれから歳月は流れ、自分は今も描き続けている。何と幸せな事か!
その頃の思い出のパリの情景や、一日の終わりにカフェで一杯飲み、歌い、語り、
人生を謳歌している人々を今描いている。
毎日まいにち、自分も彼等の様に、飲んで、時には歌って、人生をより楽しく生き
て行こうと思う。“ラ・ボエーム”の歌の中の青年の分までも。