去る3月10日、北京の中国美術館で「~伝承と修行~ 中央美術学院 第一期生油絵研修班作品展」が盛大に開幕しました。
今や世界各地で活躍する卒業生と教官たちがこの展覧会のために集い、中国の美術ファンの注目を一手に集めたのには歴史的な背景があります。
文化大革命が終わり、国内随一の美術教育の場として復活した中央美術学院には、年齢もさまざまな芸術家の卵たちが全国から殺到しました。
毛沢東の肖像や宣伝ポスターを描き続けながらも、才能が認められて画家としての地位を築いた人も大勢いましたが、伝統や文化の豊かさを取り戻すかのようにこぞって入学を志願。上海で活躍していたジャーシャン・ベイ先生(当画廊取扱作家、現在メルボルン在住)も、高い倍率をくぐり抜けて栄えある第一期生となった一人です。卒業後25年が経ち、かつて共にキャンバスを並べた彼らも自分の進むべき表現を追求して、百花繚乱といった展観でした。表現の違いはあっても、どの作品も確固とした技術の裏打ちを感じさせ、また、どんな斬新な表現にもしっかりとした技術の骨格が備わっていました。この展覧会を目の当たりにした私は、個性偏重で技術を軽視する、近年の中国画壇をにぎわせている一過性の表現に疑問を持つ者のひとりとして、見る人の心を震わせる表現は時代を問わず生き続けるものだと思いを新たにしました。
中国画壇の将来を信じさせてくれる、希望の光にも似た素晴らしい展観でした。
ギャラリー通信#22(2009年5月号)より
レセプション風景