絵が空間に自然に熔け込んでいるんですね。
気が合う人とだったら、短い付き合いでも何年もずっと一緒にいるような人がいますよね、それと同じかな。
首都圏を中心に不動産事業を展開する株式会社ビジネスパーク様。 お洒落なオフィスに作品5点を飾られるようになって半年が経ちました。 元赤坂にある本社で、代表取締役・柴田透社長をはじめ、皆さんのご感想を伺いました。 ( 聞き手 顧 定珍)
顧:柴田社長との出会いは、あるチャリティオークションで私どもの作品を落札していただいたのがきっかけでした。
柴田:あの頃はオフィスに手ごろな絵がちょうど欲しかったので、出品されている中で一番自分に合ってるものを選んだわけです。パートナーを選ぶような感じかなぁ、ファースト‐インプレッションとフィーリングで選んで、本質は、飾った後からじっくり味わいます。(笑)絵はもともと好きで、海外に行くと必ず美術館を観てまわります。東南アジアに駐在していた頃は、現地のローカル色豊かな作品を購入しました。
僕は生まれたのが戦後まもなくで、雨露をしのぐ「屋根さえあれば」という時代ですから、デザインの素養も色彩感覚もない。良し悪しを判断する自信がないからわざわざ絵を置く気にはならなかったですね。
そこに、シルクランド画廊という出会いがあったから購入に至ったという訳です。
まぁ、こちらの技量に合ったアドバイザーがいると、判断がつきかねる時に助かります。わからないことは聞いちゃったほうが早いですから。ここのテーブルや椅子を選ぶ時も、ちぐはぐになっていないか、外国人のデザイナーにチェックしてもらいました。
顧:「飾った作品が雰囲気に馴染んでいて、買ったばかりという感じがしない」と伺ったときはとても嬉しかったです。
柴田:絵が空間に自然に溶け込んでいるんですね。気が合う人とだったら、短い付き合いでも何年もずっと一緒にいるような人がいますよね、それと同じかな。絵は、自分に欠けている心の豊かさを得られるからいいですね。小説を読んで主人公になりきったり、いい服飾に出会ったら、自分が身につけたらどうなるだろうと想像する―そんな疑似体験ですね。芸術ってそんなもんだと思います。
顧:「サロンの夕べ」の前方にいる横顔の紳士は、柴田社長にそっくりですよ!
柴田 えっ、そう?猫背なところ?(笑)興味を持って小さな変化や違いにも気がつくというのは大事。事もそうですけど「どうしてこうなるの?」と思うか、「ふーん」で終わっちゃうかでは、人生年もあれば大きく違ってきますよね。作品も、自分の感性を働かせて「この絵はいいなぁ、どんな人が描いたのかな」と見るのがいいんじゃないですか。
「あのコーナーにルノワールがあるから見に行かなくちゃ」なんて息苦しくしたら、 趣味ではなくなってしまいます。でも、沢山ある良い作品の中から、 こちらの予算や趣向を理解して見つけてくれる友人がいる、 というのは素晴らしいことですね。
顧:ご多用の中、始業前の貴重なお時間を裂いて頂きました。改めて作品と空間がぴったり合った様子を拝見できて嬉しかったです。本日はありがとうございました。
(株)ビジネスパーク
http://www.businesspark.co.jp/
■ 取締役の勝又さん
(ジャーシャン・ベイ「明日を駆ける」の前で)
馬は、世田谷の馬事公苑で子供と一緒に眺めるくらいですが、この絵は馬の動きを捉えていて、勢いを感じられるから一番好きです。「よしやるぞ!」「頑張るぞ!」という気分になりますね。
■ 総務の中村さん
どの作品も私が毎日きれいにしてるもんで、よく見てます。子供の頃は絵を習っていて、静物を描いた作品が入賞して美術館に飾られたこともあるんですよ。文化的なものが身近にあるのはやっぱり良いですね。
■ 社員の林さん
(黄 元慶「風と走る」の前で)
会議室は凝った造りなんですが、光が入らないので淋しい印象でした。それが、この絵(江屹「好日」)が入ったことで、部屋の良い面が引き出されたなぁと思います。ふんわりしたタッチで、一番好きな作品です。
会社全体の雰囲気を変えたのは馬の絵かなぁ。カーペットの色ともマッチしていますし、玄関から入って通路の突き当たりにあるので勢いがつきますね。疲れて帰ってきて絵が目に入ると、気分が違うんじゃないかなぁと思います。絵があると、お待たせするお客様にも気分を和らげて頂けるんじゃないでしょうか。