その間に経験したことを、制作なさる先生方にもお伝えしたくて、6月末、「画家座談会」をひらきました。お集まり下さったのは左から 江屹、大竹卓民、蔡國華、ジャーシャン・べイ、東強、(顧)、ボラン・チェン、孫家珮、以上の諸先生方です。
これまで日本では比較的名前が知られていない中国系画家を紹介する私どもが、十数年間もやって来られたのは、「感動するものしか扱わない」というひとつの信念を忠実に守ってきたからだと思っています。その甲斐あって、今ではたくさんの先生方の作品を、幅広く、自信を持っておすすめできるようになりました。ただ、銀座で作品を扱う前は、作品そのものの品格とは別に、お客様に選ばれやすい作風とはいったい何だろうと考え、そしてその経験をもとに、お客様とのご縁のありかた、作品のご紹介方法を考えていました。
座談会に出席していただいたある先生も個展の際に、「日本では自分が表現したいと思うものが、果たして受け入れられる地域性があるのだろうか?」 という疑問を持っていらしたことがあります。 ところが、その「選ばれやすい作風」というものがここにはないのです。先ほどの先生の作品をはじめ、どの作品も、ぶらりと立ち寄られるお客様の、どなたかのお目に留まって お嫁にいってしまいます。 そして、「未来の美術館に収蔵されてゆく作品を、最前線で送り出しているのだ」という自負が生まれました。
先日の座談会では 「画家が精魂をこめて描いた作品は、国や文化の違いを超えて、それを受け止めるお客様に必ず出会える」 ―― このシンプルでつよい真実をお伝えし、先生方に喜んでいただけました。作品を世に送り出す画家、喜んでくださるお客様、その舞台としてご縁を結ぶ私たち画廊。 おこがましい言いようですが、これまで以上に自信を持った先生方は、きっと一丸となってますます素晴らしい作品を 発表してくださるものと信じています。 これからも、気鋭の画家たちの個展にどうぞご期待ください。
2006年6月
シルクランド画廊 顧 定珍