立春も過ぎ、暖かい日差しがなにより嬉しいこの頃です。皆さまお変わりありませんか。シルクランド画廊はこの2月、お蔭様で開廊20周年を迎えます。2003年から今日まで、日本全体が揺らぐような局面をいくつも経験しながら、お客様と先生方のお導きでこの大きな節目を迎えることができました。素晴らしい出会い、温かいご縁に恵まれた20年を振り返り、感謝の思いでいっぱいです。スタッフ一同、心より御礼を申し上げます。
百貨店とのお取引を始めて10年目、私どもは初めての画廊をここに開きました。画廊の聖地とも言われる銀座で、大通りに面した1階に店を構えられたのはとても幸運でした。ショーウィンドウに飾った一枚にひかれて扉を開いてくださる方、画廊巡りのルートに加えてくださる方、そして私が留学生の頃からお世話になっている方々がお客様となってここにお越しくださいました。
文化学園大学(旧・文化女子大学)大学院の留学生だった私は、ある方の勧めで「南国会」に入会しました。来日して3年、将来はビジネスをしたいと漠然と考えていた頃です。
南国会は、国連アジア極東犯罪防止研修所の事業をサポートする「アジア刑政財団」の支援団体です。ここでは20代の私を丁重に迎えてくださった会長をはじめ、皆さんとの交流を通じて、マナーやエチケットなど社交の基本を行動で見せてくださり、ビジネスの心得を言葉で教えてくださいました。「ビジネスには『いい出会い』が必要」との言葉に背中を押されて一員に加わってから会が解散するまでの15年間、数え切れないほどの学びがあり、そのお蔭で現在の私があります。出会いの素晴らしさとありがたさを、私はこの南国会で知りました。
老舗がひしめく銀座で画廊を開いたこと。何者でもなかった私が、背伸びをして南国会に参加したこと。どちらも、一見無謀にも見える冒険がご縁に結びついた最高の決断でした。初心を忘れず、これからも美術を通して皆さまの出会いの場であり続けます。皆さまのご信頼に応えるシルクランド画廊に、どうぞご期待ください。
令和5年2月
シルクランド画廊 顧 定珍