この一年、日本全体にとって忘れられない出来事がありました。命の大切さ、平和な日常のありがたさ、かけがえのない家族や友人、絆……、こういったテーマが、こんなにも語られた年があったでしょうか。 画廊にも、お客様が悲しみや怒りを抱える姿がありました。また、震災直後の笑うことすらためらわれるような時期、お客様方はおそるおそるご来店いただいたようにも見受けられました。 しかし、作品を鑑賞いただいた後には、皆さんが和やかなお顔で「やっぱり画廊に来てよかった」「怒りと一緒に暮らすより、絵を見て心安らかになって、これからを考えて生きていけばいいんだ」と口を揃えておっしゃいました。 絵と笑顔が集まる画廊は、「心に寄り添う“一期一絵”」を支える場所。そんなことを改めて教えていただきました。 上海生まれの私は昨年の震災の直後に、改めて日本、日本人の良さを感じて、生涯ここで画商として生きていくことを心に誓いました。
皆様とこうして新しい春を迎えられる幸せをかみしめ、これからもシルクランド画廊からたくさんの笑顔が生まれますように――スタッフ一同、その想いで、また一年精進してまいります。 3月11日から24日までの開廊九周年展でお会いできることを楽しみにしております。
平成24年3月吉日
シルクランド画廊 顧 定珍